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創造主のジレンマ

カテゴリ : 自作小説
創造主は自分の欲しい世界をつくり
自分の理想とする楽しい生活ができるようにと人々にストーリーを与える
人々はそんな世界で生活し、発現するイベントをこなしつつストーリーを紡ぐ
しかし世界をつくり、人々にストーリーを与えた本人はそれら世界もストーリーも得ることはできない
創造主はあるべきカタチを考え、その為に必要な自分の欲しいと思う世界と自分の欲しいと思うストーリーを作った
それなのに自分はそのストーリーを演じることはできない
それらストーリーの主人公は自分の作った人々であって創造主自身は主人公にはなれない
創造主は自分が欲しいと思ったストーリーを作ることはできてもそのストーリーの主人公にはなれない
創造主はジレンマを覚える
私もストーリーを演じてみたい
私もストーリーの主人公になりたい

創造主は神でもある、願えば何でも叶う存在だ
神である創造主は自分の作った世界で自分の作った自分の望むストーリーを主人公として演じるために人間に転生する
あるストーリーの主人公になった創造主はそのストーリーを演じていく
そのストーリーでは悲劇があり、苦難があり、友情があり、愛があり、そして最後に人々のヒーローとなる
ストーリーの中で本物の主人公として演じていくためには創造主であったときの記憶があっては支障をきたす
創造主はストーリーの主人公を完璧に演じるために創造主であったときの記憶を失い、本物の主人公として転生した
主人公は悲劇や苦難を乗り切り、奇跡を起こし、そこで初めてメシア(救世主)となる
しかしその間、主人公には創造主であったときの記憶は何も残されてはいない
かつてこのストーリーを主人公として演じてみたいという創造主の欲求さえも、そのときは知るよしもない
主はなぜこんなにも過酷なストーリーをお与えになったのかと云い、ああ神よと云い、神託があり、そして奇跡は突然訪れる

創造主はストーリーを演じ終えると、また元のストーリーを作った側の立場に戻る
そこで初めて創造主は知るのだ
ああ、あれは私が望み、自分で作ったストーリーだったのかと
かつて自分が欲し、自分で作り、そのストーリーの主人公になりたかった、そのストーリーだったのかと
創造主はこうして自分の望むストーリーを主人公として演じて還って来た

しかし創造主は物足りなさを感じる
ストーリーを演じているときは今のようにストーリーを演じたいという欲求は持っていなかった
ただ与えられた試練を乗り切るばかりで、これが自分の欲したストーリーを演じているのであることなど知るよしもなかった
ストーリーを演じ終えた今になってはあのつらさや感動や世界の感触までも
まるで別のどこかの知れない世界での夢うつつであるかのような
全然実感の湧かない、とても長い夢であったかのようなそんなものでしかない

そう、演じている本人でしかそれを現実の生々しいものとして感じることはできないのだ
すでに元の創造主として戻ってしまった今となっては
あの日々もまた夢うつつで不確かな過去の記憶に過ぎない
そうして創造主はまた人々のストーリーに憧れる
自分の作った世界で自分の作った人々が演じるそれぞれのストーリーに
また夢馳せるだけの創造主という存在として
彼らの世界と彼らのストーリーを上からじっと眺めることしかできないのだった
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